海外FXで利益を上げることは喜ばしいことですが、確定申告をしなければ過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税といった追徴を納める必要が出てきます。
また、国内FXと海外FXとでは税制度が異なるため、これまで国内FXで利益を上げてきた方でも海外FXを今年から始めたのであれば新しい手続きが必要です。
この記事を読んで、海外FXで利益を上げた時に必要な確定申告のやり方をチェックしておきましょう。
海外FXで確定申告は必要?
FXでは日本の金融庁の許認可のもと国内に本拠地をおいて運営する会社を「国内FX会社」と呼び、日本以外の国の金融ライセンスを持ち、海外に本拠地をおいて運営する会社を「海外FX会社」と呼び分けいています。
海外に拠点を置いているということは、海外FX会社で取引して得た利益は日本国内ではなくその会社の本拠地がある国に税金を納めなくてはならないと考える方もいることでしょう。
そもそも確定申告とは?
そもそも確定申告とは何か、あまり理解できていない方もいるかもしれません。
確定申告とは、1年間で得た売上から経費を際し引いて所得を算出し、その所得にかかる税金を計算したのち、国に自分が収めなくてはならない税額を自ら申告するという制度です。
確定申告で算出する所得の対象期間は、1月1日~12月31日で得た所得です。
サラリーマンの方は毎月支払われる給与から会社が所得税分を源泉徴収しているため、副業などで得た利益がない限り確定申告の必要はありません。
医療費控除や住宅ローン控除を利用したり、ふるさと納税の寄附先が1年間で6自治体以上になる人などは、サラリーマンであっても確定申告が必要になります。
もちろん、海外FXで一定以上の利益を得た場合は副業ということになりますので、確定申告が必要となってきます。
確定申告が必要なケース
個人事業主の方は会社が源泉徴収してくれるわけではありませんので確定申告が必須となります。
一方、サラリーマンの方は給与から所得税が源泉徴収されているので確定申告が必要ではありません。
ただし、以下のケースに当てはまる場合には確定申告が必要と判断されます。
- 海外FXなどの副業での所得が20万円をオーバーした人
- 株取引で特定口座(源泉あり)を指定していなかった人
- 不動産を売却したり相続した空き家を売却して利益を得た人
- 年末調整されなかった人
- 保険の満期金を受け取った人
- 給与が2,000万円超の人
- サラリーマンだが2社から給与が支払われている人
上記の条件に当てはまらない場合でも、医療控除や雑損所得控除、住宅ローンを利用した場合、年末調整で控除が一部もれていた場合などサラリーマンでも確定申告した方がお得な人もいます。
海外FXの確定申告に必要な書類
それでは、海外FXで利益を得た場合に確定申告のために用意しておかなくてはならない書類はどのようなものがあげられるのでしょうか?
海外FXで確定申告をする場合に用意する書類は、基本的に普段の確定申告と変わりません。
【海外FXの確定申告に必要な書類】
- 本人確認書類(マイナンバーカード等)
- 給与の支払い元から受け取った源泉徴収票
- 生命保険料控除や雑損所得控除など控除申請のための証明書
- 海外FXで使った必要経費が記載された領収書
- 海外FXでの年間の取引記録が記載されている取引報告書
マイナンバーカードや源泉徴収票などは確定申告に必須です。
海外FXをしている方限定で必要となる書類は、「海外FXでの年間の取引記録が記載されている取引報告書」です。
取引ツールとしてMT4やMT5を使っている場合は、すぐに年間報告書をダウンロードできます。
ターミナルウィンドウにて「口座履歴」を開き、口座履歴のウィンドウ内のどこでもいいので右クリックをしてください。
メニューを開いて「期間のカスタム設定」をクリックしたら、確定申告の対象の期間である1月1日〜12月31日を設定してOKをクリックしましょう。
確定申告に必要な対象期間の取引記録が記載されていることを確認したら、口座履歴のウィンドウ内のどこでもいいので右クリックをして、メニューを開き「レポートの保存」をクリックします。
レポートの保存先を選択したら、年間取引報告書がダウンロードされます。
海外FXの確定申告時の注意点
確定申告をしたことがない人にとっては手続きが難しいと感じるかもしれませんが、やってみると案外簡単にできます。
控除などを使えば節税にもなりますし、ふるさと納税なども利用できるため、確定申告は手間がかかるだけでなくお得な面もあります。
しかし、確定申告の時に気をつけておかなくてはならないポイントもあるので、しっかりチェックしておきましょう。
海外FXと国内FXとでは税制度が違う
同じFX取引で得た利益なので、税制度も同じように思えますが、実は海外FXは国内FXと異なる税区分とされています。
国内FXで得た利益に対しては、「申告分離課税」が適応されるため、どんなに利益が多くなっても一律で20%の税率となります。
一方、海外FXでは申告分離課税ではなく、「総合課税」が適用されます。
他の雑所得を合わせて累進課税が適用されるため、利益が多くなればなるほど納める税金額も多くなるのです。
課税制度の違いは確定申告時に重要となるので、しっかりと覚えておきましょう。
海外FXで経費計上できるものを把握する
海外FXを行うにあたって必ず必要であったものの費用は経費計上できます。
例えば、トレードをするためのPCなどの機材や通信費、FXトレードのための勉強教材やセミナー費用などが一例です。
ただし、「トレードだけでなく他の目的でもPCを使っている」「Wi-Fiはプライベートでも使っている」というケースでは全額ではなく、一定の割合で経費計上されます。
もちろん、海外FXに全く関係のないものを経費として計上してしまうと厳しいペナルティを下されるので絶対にやらないようにしてください。
ボーナスは原則確定申告は不要
海外FXの大きな魅力として、豪華なボーナスキャンペーンがあります。
このボーナスの扱いは分かりにくいですが、原則確定申告は不要です。
というのも、海外FXで付与されるボーナスの多くが取引の証拠金としては使えるが、そのまま出金することのできないボーナスだからです。
もし、受け取ったボーナスがそのまま出金してもよいものである場合は、海外FXで得た利益と同じ扱いになるので、ボーナス分も合わせて確定申告しなくてはなりません。
自分が受け取ったボーナスがどのような扱いになるのかしっかり把握した上で。確定申告をするようにしましょう。
海外FXで利益が出たら必ず確定申告をしよう!
確定申告をしたことがない人にとっては、確定申告は面倒なものに聞こえるかもしれません。
しかし、慣れてしまえばそれほど時間もかかりませんし、節税やふるさと納税を使えるというお得な側面もあります。
もし海外FXで利益が出ているのに、確定申告をしなかったら、追徴課税により本来納める額よりも大きな金額で税金を後から徴収されます。